トーク127
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よれば、2016年のJ-Debitの決済金額は4,023億円(クレジットカードの134分の1程度)であり、前年比6.1%の減少となっています。スマートさが売りの「モバイル決済」 キャッシュレス決済は「前払い」、「後払い」、「即時払い」の決済方式に分類されますが、モバイル決済はこれらと携帯端末(スマートフォン・携帯電話)とを融合したものと言えます。 モバイル決済は、中国やケニアといった、リテール向け銀行サービスが十分に発達していなかった国々で急速に拡大するケースが目立っています。日本でも「おサイフケータイ」、「Apple Pay」など、既にモバイル決済サービスが開始されていますが、現在のところ、広範に利用されているとは言いがたい状況です。 もっとも、モバイル決済との融合が期待されるクレジットカード、電子マネーの決済金額はこれまでみたとおり増加傾向にあります。今後のモバイル決済が拡大するかどうかは、セキュリティ面での不安の払拭やスマートさをいかに演出できるかがポイントであるように思われます。キャッシュレス決済比率4割を政策目標に掲げた「未来投資戦略2017」 冒頭で、「未来投資戦略2017」において今後10年間でキャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度にする数値目標が掲げられたという話をしましたが、現実的に達成可能な数字なのでしょうか。 キャッシュレス決済をクレジットカード、プリペイド方式の電子マネー(主要8ブランド)、デビットカード(J-Debit)による決済とすると、2016年のキャッシュレス決済金額は約59.4兆円となります。同年の民間最終消費支出(内閣府)は約296.2兆円(速報値)であることから、2016年時点のキャッシュレス決済比率は約2割と計算できます。この数字を10年間(2027年6月まで)で倍増しようとすると、民間最終消費支出が2016年時点と変わらない場合、キャッシュレス決済金額が毎年7%増加すれば、10年間でその比率は約4割となり、数値目標が達成できることになります。キャッシュレス決済金額の約9割を占めるクレジットカードが年間7~8%程度増加していることや電子マネーの潜在的なニーズを背景に、足下の勢い方に、「カードをあまり利用しない」理由をお尋ねしたところ、「お金を使いすぎる」、「借入して買い物をしたくない」が上位を占める結果となりました。一方で、カード支払の割合が高い方に、「カードを利用する理由」をお尋ねしたところ、「ポイントがたまる」と回答した方が圧倒的に多く、次に多かった回答としては「会計がスムーズ」となりました。 このことから、電子マネーは、チャージした金額を超える利用はできないため、①お金を使いすぎることがない、②借入しての買い物ではない、③ポイントがたまる、④会計がスムーズであることから、現金主義の方からも少額支払を中心に潜在的なニーズがあるとうかがわれます。 日本銀行決済動向によれば、2016年の「Suica」などの電子マネーの主要8ブランドの決済金額は5兆1,436億円(クレジットカードの10分の1程度)であり、前年比10.8%の増加となっています。日本ではあまり普及していない「デビットカード」 デビットカードは、日本ではあまり普及していないのですが、海外では広く利用されている決済手段です。中国では「銀聯(ぎんれん)カード」が有名です。支払いの際にカードを提示し、端末に暗証番号を入力すると、利用代金が口座から即時に引き落とされる「即時払い」方式です。   デビットカードには大きく2種類あり、金融機関のキャッシュカードをそのまま使って買い物などの支払ができる「J-Debit(ジェイデビット)」とVisaやJCBといった国際ブランドの加盟店であればどこでも利用可能な「ブランドデビット」があります。 日本デビットカード推進協議会に4

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