トーク127
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現金大国の日本 BIS決済統計によれば、日本における現金流通残高の対名目GDP比率は2015年時点で19.4%となっています。この数値はアメリカ(7.9%)の約2.5倍、キャッシュレス先進国と言われているスウェーデン(1.7%)の約11倍となり、世界からみて高い水準にあります(図表1)。 さらに、日本銀行が2017年2月に公表した「BIS決済統計からみた日本のリテール・大口資金決済システムの特徴」によれば、少額貨幣流通残高(10円、5円、1円)については、電子マネーの普及に伴い、年々減少している一方で、最高額面銀行券である一万円札の占める割合が名目GDP対比で17%、流通現金全体の88%となっています。このことは、「決済手段」としての利用だけではなく、保管場所等の物理的負担を小さくする、すなわち、タンス預金に代表される「貯蔵需要」に基づく現金保有が大きいことを示しています。 こうしてみると、日本は、少額貨幣流通残高が減少しているとはいえ、一万円札をはじめとする紙幣流通残高を勘案すれば、世界有数の現金依存度が高い国と言えるでしょう。キャッシュレス決済の中心「クレジットカード」 それでは、次にキャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、デビットカード)の利用状況(図表2)についてまとめてみます。まず、クレジットカードですが、比較的高額な支払やネット取引で利用されることが多く、普及が進んでいます。クレジットカードは、ご存知の方も多いでしょうが、「後払い(ポストペイ)」方式です。決済は商品を買うときやサービスを利用したときに行われるのですが、実際に銀行口座からお金が引き落とされるタイミングは購入後となります。決済時点で口座にあるお金が決済額に足りなくても、後で引き落とされるためその時までに必要な額のお金が口座に入っていればよいので便利です。また、分割払いやリボ払いなどさまざまな支払方法が用意されており、ポイント制度も充実しています。 日本クレジット協会の調査によれば、2016年において契約数は2.4億件を超え、成人人口比で言えば、1人あたり約2.3枚を保有している計算になります。また、同年の決済金額は53兆9,265億円と前年比8.2%の増加となっています。少額支払の決済で強みを発揮「電子マネー」 電子マネーは、手軽さからコンビニエンスストア、自動販売機で利用されることが多く、使用前にあらかじめチャージしておく必要がある「前払い(プリペイド)」方式です(図表3)。  ところで、話は当金庫「お買い物アンケート」(図表4)になりますが、アンケートで現金支払の割合が高い(図表1) 現金通貨の流通残高の名目GDP比率(調査時点2015年)(出所)Statistics on payment, clearing and settlement systems in the CPMI countries ‐Figures for 2015より岐阜信用金庫作成日本(%) 2520151050香港スイスアメリカスウェーデン(図表2) クレジットカード、電子マネー、デビットカードの公表決済金額(備考)日本クレジット協会資料、日本銀行決済動向、日本デビットカード推進協議会資料より 岐阜信用金庫作成2014年2015年2016年5010(兆円)6012(兆円)40830620410200合計クレジットカード電子マネー(右軸)デビットカード(右軸)2

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