トーク127
10/16

日タイ修好130周年 日本とタイの交流は、約600年前に遡ります。当時タイの首都であった「アユタヤ」には、御朱印船貿易に携わった日本人たちが日本人町を形成し、最盛期には2,000~3,000人以上もの日本人が住んでいました。戦国時代を生きてタイに来た日本人の多くは、傭兵としてビルマ軍と戦い、町長であった山田長政は、22代ソンタム王から官位を与えられました。こうした友好の歴史は、バンコク郊外の観光地「アユタヤ」にある「日本人町跡」で今も知ることができます。 徳川幕府による鎖国令により、築かれた交流も徐々に衰退しましたが、日本が明治維新により近代国家建設を開始し、1887年(明治20年)9月26日、「日暹(にちせん)修好通商に関する宣言」(日タイ修好宣言)により、日本とタイ王国は正式に国交が開かれました。この宣言は、明治の日本政府が東南アジア諸国と外交関係を結んだ最初の条約でもあります。本年は、この日タイ修好宣言から130年の節目を迎えることになります。日本とタイとの関係およびカンボジア事情について海 外レポート岐阜信用金庫バンコク駐在員事務所 所長 髙橋 英孝日タイ両国の親近感の高まり 日本政府観光局(JNTO)発表の統計資料によれば、2015年は138万人の日本人が、観光、商用等の目的でタイを訪問し、アジアでは、中国、韓国、台湾に次いで4番目に多い訪問国となりました。一方、2016年は、1年間で90万人のタイ人が日本を訪問しています。アジアでは、中国、韓国、台湾、香港に次いで5番目に多い国となっています。日本政府観光局(JNTO)の統計は毎月発表されていますが、相互に訪問者数は増加傾向にあります。バンコク市内で度々開催される旅行フェアでは、多くのタイ人が日本各地から出展される自治体、旅行会社のブースを訪れ、お得なクーポン券、周遊券等を手に入れている姿を見ることができます。 また、タイに居住する日本人の数は約6万7,000人を越え(2015年在タイ大使館調査)、バンコク日本人学校は小学校と中学校の在籍児童生徒数が2,699名(2016年5月)と大規模な日本人学校となっています。在留日本人の増加と、日本食ブームの高まりを受け、タイ国内にある日本食レストランは2,700店舗を超えました。週末の日系の居酒屋には、多くのタイ人が友人たちとお酒を飲みながら、談笑している姿をよく見かけるようになりました。対日貿易の実態 タイの輸出主要国(2016年)で日本は10%のシェア(第3位)、輸入主要国(2016年)では、16%のシェア(第2位)となり、対日貿易は、貿易額で第2位の地位にあります(1位は中国)。 主な輸出品は、①自動車・同部品国別訪日外客数(人)出典:日本政府観光局(JNTO) 2015年2016年伸び率(%)中国4,993,6896,372,94827.6韓国4,002,0955,090,30227.2台湾3,677,0754,167,50413.3香港1,524,2921,839,18920.7タイ796,731901,45813.1シンガポール308,783361,80417.2マレーシア305,447394,26229.1インドネシア205,083270,94732.1フィリピン268,361347,86029.6ベトナム185,395233,76326.1「日本人町跡」の石碑旅行フェアの様子日系居酒屋の店内2017年は日タイ修好宣言から130年の節目を迎えます。 両国内では、記念のイベントが多く開催されます。そこで現在の日本とタイの関係をまとめました。 またあわせてカンボジア事情をお伝えします。10

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る