トーク126
5/20

G…御社の成り立ち、これまでの歩みについてお聞かせください。 当社は、昭和29年8月に私の実父が創業しました。創業当初より、王子製紙(株)と取引があり、原料となる国内材の供給などをしていたことから、おかげさまで、資金繰り、在庫管理の心配はほとんどありませんでした。まさに、同社に保護され、守られて事業をしてきたといっても過言ではないでしょう。 こうして順調に経営が進む中で、私は大学卒業後に勤務していた王子製紙(株)の子会社を退社し、24歳で家業を継ぐべく、当社に入社しました。入社当初は、分からないことだらけで数多くの失敗をしてきましたが、いろいろな方々の協力もあり、徐々に仕事にも慣れてきました。そうこうするうちに私も30歳になり、当社に転機が訪れます。その頃、業界においては、国内材の取引価格の優位性が保たれつつも、既に外材の供給量が国内材を上回っている状況であり、「この状況に甘え、何もしなければ、いつか会社がだめになってしまう」という危機感を以前から抱いておりました。ですから、私は他社に先行するかたちで、王子製紙(株)に供給している国内材の価格を3割程度引き下げる申し出をしたのです。G…業界内で反発などはありませんでしたか。 はい、ある程度予想はしていましたが、いろいろと反発の声がきこえてきました。ただ、王子製紙(株)もいずれは取引先に対し、引き下げのお願いをするつもりだったらしく、遅かれ早かれこうした動きになっていくのは避けられないことでした。その後、業界内での競争は激しさを増し、淘汰される企業も出てきました。当社もこの申し出を契機に企業としての実力をつけるため、事業内容を広げ、建材などの分野にも進出していきました。 しかしながら、これまで王子製紙(株)との取引が大半で、経営に関しては苦しい経験がほとんどなかったことから、新しい取引先にたった一枚の請求書を書くにも右往左往する日々が続きました。また、受け取った手形の不渡りが度々発生するなど、経営の厳しさをいやというほど味わいました。今から思えば、こうした経験が積み重なって、現在の当社があるのだと思います。G…いろいろなご苦労があって今の御社があるのですね。こうしたなか、現在、ベースとなっているのはどのような事業ですか。 創業から62年経っていますが、これまでのことを振り返ってみると、売上はまだまだ少ないですが、山林事業、チップ製造事業が当社のベースとなってきました。つまり、山に関わる事業です。また、今まではどちらというと、販売を中心としていましたが、今後は、効率化、利益の追求という観点から、製造業の要素も取り入れ、戦略的な事業展開を行っていきたいと考えています。G…具体的にはどのようなことですか。 山の潜在的な価値を引き出すためにベース事業に加え、リサイクル事業にも力を注いでいきたいですね。また、岐阜県だけでなく、愛知県や三重県などの他県展開をさらに推進していきたいと思っています。ただ、現在の組織体制では、今以上の売上や規模の拡大が難しく、組織改革が必要であると考えています。G…その組織改革について差し支えなければお話しください。 これまでは、「人で組織をつくる」企業形態でした。例えば、本来、部長、課長の働き、役割をはたしていなあえて逆境に身を投じる組織で組織をつくる■蜂屋キャビティ苗生育所■「addless」名古屋ショールーム3SPECIAL TALK 株式会社 佐合木材

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です