トーク126
12/20

海外進出先としての    タイおよび隣国ラオスについて岐阜信用金庫バンコク駐在員事務所 所長 髙橋 英孝海 外レポートタイの近況について【タイの政情】 2014年にクーデターが起きたタイでは現在、軍が政権を担っています。2016年8月、実質的な「軍政延命」を内容に盛込んだ新憲法草案の賛否を問う国民投票が行われ、賛成多数で可決されました。これにより、軍の政治への関与が合法化され、軍の実質的な管理下に置かれる上院が主導する形で、軍関係者を首相に選出することが可能となりました。 軍事政権というと物々しい雰囲気を想像する方もいますが、バンコク市内はいたって平穏で、軍人が街に駐在することはありません。タイ人の性格は穏やかで優しく、夜道で危険な思いをしたことは一度もありません。最近では、街中でゲームをする姿をよく見かけるなど、治安はとても安定しています。【タイの景気】 タイでは、1960年からの相次ぐ日系自動車メーカーの参入を契機に自動車産業が発展し、国の基幹産業となっています。しかし、国内自動車販売台数は2012年の140万台をピークに減少傾向にあり、2015年は80万台まで落込んでいます。 バンコク日本人商工会議所の「自動車部会総会」では、「タイ国内での自動車販売台数の落ち込みには歯止めがかかったと思われ、2017年以降に期待する」との話がありました。 また、タイの自動車生産台数は世界第12位(2015年)を誇り「アジアのデトロイト」と言われるほどの一大自動車生産拠点となっています。大手自動車メーカー社長は「輸出については、原油価格の下落に伴う中東情勢の悪化により中東向けの輸出が減少しているものの、アセアン域内向けの輸出が期待でき、堅調な推移を見込む」としています。 タイの景気は長く低迷しているものの、タイに進出している当金庫のお取引先は、コスト軽減、内製化の推進、残業の削減、ローカル企業への販路開拓などの企業努力により黒字計上している先が多くあります。Fromタイラオス 親日国として知られているタイは、早くから海外投資先として注目を集めており、多くの日本企業が進出しています。一方で、最近では政情不安や人件費の高騰などを理由に、投資対象国としての魅力は薄れているとの声が聞かれます。しかしながら現地に駐在していると、インフラ設備や駐在員の滞在環境も整っており、2016年10月にプミポン国王が逝去し、国民生活に多少の影響が出たとはいえ、治安も平穏で他のアジア諸国に比べればタイにはまだまだ投資の魅力があると感じています。タイの近況をご紹介しながら、その魅力をお伝えしたいと思います。また、隣国であるラオスの近況もあわせてご紹介します。■国民投票翌日の新聞10

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です