トーク125
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■講演される 弁護士 鮫島正洋先生機関からも評価され、PRにもなります」というお話や「大企業と下請企業という従来の系列関係も崩れつつあるなか、自力で市場を開拓する挑戦も必要であり、そのためには独自製品をもつこと、すなわち知的財産戦略が必要なのです」というお話は大変興味深いものでした。  そして、実例として、ある水産物を加工する機械を開発・製造するA社という中小企業のお話を以下のようにされました。 「A社が製造する水産加工機械の市場は年間でも3億円規模と小さく、大手企業が参入するような市場ではありませんでした。そこで、A社は徹底した知的財産戦略で水産加工機械の製造に必要な特許を矢継ぎ早に出願しました。その結果、同業他社は特許リスクをとってまでこの市場で競うメリットは少ないと参入をあきらめたため、同分野の水産加工機械のシェアは100%となり、年間3億円という市場がA社のものになりました。さらにこの他の水産加工機械にもこのビジネスモデルを使って、同社は水産加工機械分野ではニッチトップになったのです」  知的財産の管理コストに見合ったリターンが本当に得られるのかといった考えが払拭できず、こうした投資にどうしても踏み込めない経営者の方は多いと思われます。しかしながら、市場参入への切符という無形的なリターンを勘案すると、将来に渡ってその効果は大きいのではないかと考えさせられるお話でした。特許を評価した融資の取組みについて 鮫島先生の「特許取得が金融機関へのPRにつながります」というお話に関連して、当金庫では平成28年2月1日から、株式会社三菱総合研究所(以下、三菱総研と記載)と連携し、お取引先企業が持つ特許の経済価値を評価して判断材料にした融資制度を開始しました。これは、三菱総研が作成した「企業特許レポート」を当金庫が融資の判断に活用するものです。(図表2をご覧ください)具体的には、成長分野に取組むお取引企業向けの融資ファンド「中小企業育成ファンドⅡ」取扱い時に活用します。 本レポートは、三菱総研が特許庁に登録されている公開情報などに基づいてお取引先企業ごとに作成し、内容はお取引先企業の特許情報のほか同様の特許を持つ競合企業、金額で記された特許の経済価値などで構成されています。 最後にこの融資制度の第1号案件をご紹介します。「企業特許レポート」を活用した 融資案件第1号! 当金庫は平成28年2月19日に株式会社五合(春日井市:小川宏二 社長)に対し、三菱総研の「企業特許レポート」を活用した融資を行いました。 同社は、「環境に優しい無機塗料」や「安全で簡単に効率よく操作できるコントローラ技術」に関する権利有効特許を保有しており、当金庫は、当社事業の優位性や将来性などを見極め、融資の判断材料の一つとしました。 これは本融資制度の第1号案件であり、国内の信用金庫でははじめての取組みとなります。財務諸表に表れない技術力や技術資産といった「知的資産」「知的財産」を評価することで、今後もお取引先企業の資金ニーズにお応えすることはもちろんのことですが、本文をお読みになり、特許権をはじめとした「知的資産」・「知的財産」などにご興味を持たれ、「是非、我が社でも活用したい」とお考えになった皆さまには、当金庫が専門家や公的機関などと連携し、活用に向けたお手伝いをさせていただきます。従来型走行ボタン上昇ボタン下降ボタン非常停止ボタン東西南北ボタンを1個に集約!+上下ボタンゼロ・クリアR加工済ゼロ・クリアR加工済ゼロ・クリアR加工なしゼロ・クリアR加工なし11(図表2) 特許を評価した融資の仕組み岐阜信用金庫特許を保有するお取引先企業㈱三菱総合研究所①申込書・同意書④企業特許レポート⑤融資実行②注文書③評価

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