トーク124
6/20

■素材の特性を引き出した高付加価値の精密金型製品当時、私は営業を担当しており、ことあるたびに「材料を納めるだけではなく、前加工などの簡単な仕事は是非当社に担当させてください」と積極的にPRしました。すると地道な努力が実ったのでしょうか、徐々に受注できる仕事が増え、着実に売上が伸びていきました。忙しかったですが、非常にやりがいを感じ、営業マンとしての醍醐味を味わうことができました。G…その地道な努力というのは、具体的にはどのようなことですか。 こうした加工の仕事をさせていただくにあたって、徹底したのは「納期の厳守」です。当時はまだ仕事のペースがゆったりしており、納期などあってないようなもので、多少時間がかかっても許されるおおらかな時代でした。そんな時代に「○月△日までに納める」という「納期厳守」を打ち出したのですから、トヨタ自動車様からも「本当に約束通りにできるのか」と驚きをもって受け止められました。G…こうした努力が御社の信頼になっていったのですね。 まさにそうだと思います。時間が経つにつれ、「納期厳守」は当たり前で、「納期より3日前に全て納めよう」と社員一丸となり徹底的に取組むようになりました。その結果、「短納期の名特」と呼ばれるようになり、困ったときに頼られることが多くなってきました。 こうした積み重ねが評価され、トヨタ自動車様との信頼関係が構築できたころ、「一度金型をつくってみてくれないか」というお話をいただいたのです。G…この話がきっかけとなり、本格的に「金型製造事業」に参入されたのですね。 本格的にこの事業に参入したのは昭和59年頃でした。金型という分野においては、完全なる後発組でしたが、「納期厳守は当たり前、納期よりも3日前」をセールスポイントに、また、「特殊鋼」の商社であるメリットを生かし、他の金型業者よりも材料を安く仕入れ、「低コスト」で金型をご提供することを徹底しました。 つまり、「金型の品質は追いつかなくても、納期厳守と低コストで他社に負けずに頑張ろう」という意気込みで突き進み、お客さまの信頼を勝ちえることに成功したのです。今では、年間売上の7割以上を「金型製造事業」が占めるようになり、主力事業として成長しました。お客さまもトヨタ自動車様やアイシン精機様をはじめとするトヨタグループのほかにもホンダ様などの大手自動車関連の企業に広がっています。 目標は「日本一の企業内容を誇る会社」G…こうした取組みがCS(お客さま満足)につながり、企業経営に反映されてくるのですね。御社の社員が一丸となってやり遂げるパワーはものすごいものだと思いますが、そのパワーを生み出す人材育成、組織活性化に向けた取組みをお聞かせください。 当社にとって、人材育成、組織活性化に向けた取組みは最重要項目であり、様々な取組みを行っています。その一つとして、多くの中堅・若手社員を新たなステージに挑戦させるなど、長期的な視野に立って企業基盤の強化を図っています。 また、先ほどの「納期厳守」のようなお話をすると、当社は社員にかなり無理をさせている企業にみえるかもしれませんが、どちらかというと「ぬるま湯企業」だと思います。いやこの言い方も語弊があるかもしれません。当社のある社員が言った「ぬるま湯のなかで社員が頑張っている企業」というのが適切かもしれませんね。自分で口にするのもなんですが、「会社の雰囲気は大変良い」のではないでしょうか。離職率はほぼゼロであり、途中で退職する人がほとんどいないのは、社員一人ひとりが仕事を成し遂げている実感があるからでしょう。また、社員のモチベーションを上げる取組みも行っています。G…その社員のモチベーションを上げる取組みについてお聞かせください。 経営者として私がいつも思っていることは「社員に良い待遇で働いてほしい」ということです。ですから目標は当社を「日本一の企業内容を誇る会社」にする4SPECIAL TALK

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です