トーク124
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「特殊鋼」とはG…まずは、御社の成り立ちについてお聞かせください。 当社は昭和40年に私(鷲野光司社長)の父が創業しました。父は大学卒業後、名古屋の鋼問屋に勤務していましたが、大手製鋼メーカーの倒産の煽りを受け、その問屋が倒産、新たな仕事を模索していた時、取引先であった大手商社の応接に呼ばれ、「特殊鋼の販売をしてくれないか」という話を受けました。これがきっかけとなり、「特殊鋼」の商社として産声を上げたのが当社の始まりです。G…その「特殊鋼」というのは、いったいどのようなものですか。 「特殊鋼」は鉄に炭素とそれ以外の様々な元素を加えた合金鋼のことです。添加する元素によって高硬度、粘り強さ、耐磨耗性、耐熱性、耐腐食性などの優れた特性が増幅する効果が生まれ、自動車や航空機の部品などに多く使われます。G…ものづくりには欠かせないものですね。 そうですね。「特殊鋼」は産業界で幅広く使用され、また、専門性も求められるため、商社がお役に立てる場面は多いのですが、ライバルとの競争が非常に厳しく、結果的に薄利多売が常態化し、消耗戦を強いられるようになりました。こうした苦境を脱するために考えたのが加工事業への挑戦でした。 「特殊鋼」の商社が「金型製造事業」に参入G…苦しいなかでの挑戦は非常に悩まれたのではないですか。 悩みに悩みましたが、「この状況を打開するにはもう一つの経営の柱を育てなければならない」という強い気持ちがありました。その頃、幸運なことにある取引先から「表面を削るなど少し加工をして材料を納めてもらえないだろうか」という要望が舞い込むようになり、昭和55年頃、わずかな儲けのなかから数台の工作機械を購入し、2、3名の職人を使って簡単な加工を始めたのです。G…その後、事業が拡大していったということですが、その辺りについてお聞かせください。 事業の拡大については、トヨタ自動車様との取引を抜きに語れません。スウェーデン製の高品質な特殊鋼を当社が取扱い、トヨタ自動車様に納めるようになったことが取引開始のきっかけです。「特殊鋼」という 素材を知り尽くした商社でありながら、「金型」の設計、製造ができる企業として、 問題解決に向けた提案を行う。■対談中の 鷲野光司 社長(中央) 鷲野敦司 常務(右) 桑原浩彰 部長(左)3名古屋特殊鋼株式会社
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