トーク123
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CSRの分類 「守りのCSR」と「攻めのCSR」 CSRは対象、方法が多岐にわたりますが、大きく分類すると「守り」の部分と「攻め」の部分で成り立っています。 「守りのCSR」とは、企業活動が社会や環境へ与える悪い影響を限りなく減らし、企業自身や従業員を守っていくリスクマネジメント的な活動です。具体的には、企業理念や企業倫理をつくり遵守すること、省エネや省資源など環境に配慮すること、職場環境を整え人権に配慮すること、公正な取引をすること、製品の安心や安全性を高めることなど、法令やモラルを守った企業活動が挙げられます。これらは、社会から見ればやって当たり前、取組まなければマイナスイメージがつき、ステークホルダーから見放されてしまう危険性があるものです。よって、「守りのCSR」をしていないと企業をリスクにさらすことになります。 例えば、何十時間もの残業代を支払っていなかったり、雇用した時に約束していた週休2日制を無視して毎週のように休日出勤をさせていると、従業員の内部告発にあう可能性があります。かつては新聞社や週刊誌に持込んで、記事にしなければ公にはならなかったことも、最近ではインターネットが発達したために、個人で情報発信して世間に訴えることが可能になっています。SNSで「こんな環境で働かされている」と書込めば瞬く間に世界中に「ひどい企業だ」というイメージが拡散していきます。「ブラック企業」と世間からレッテルを張られてしまうと、取引を敬遠されたり、従業員の確保に支障をきたすようになります。 最近では、一度バッシングの対象になってしまうとなかなか抜け出せず、一度犯した間違いがネット上で簡単に発見されてしまう環境にあります。一度の失敗が大きな損失になり、最悪の場合は、会社を倒産させてしまう事態にもなりかねません。かなり極端な例をあげましたが、現代において不測の事態をさけるために、「守りのCSR」は企業をマイナスイメージから守る役割を果たしています。 もう一つの「攻めのCSR」とは、社会に対して良い影響を与える活動を指します。企業活動を通して社会貢献をしていくCSV経営や、文化、芸術を支援するメセナ活動、ボランティアなどの慈善活動も「攻めのCSR」に該当します。CSV経営とは、社会的課題の解決方法を企業活動に組入れて利益を上げ、同時に企業の競争力向上を実現する経営手法です。「CSRを事業化したもの」と言い換えることもできます。「守りのCSR」だけを遂行していては企業の魅力が失われ「どこにでもある企業の一つ」になってしまい、永続的な企業活動が難しくなってしまいます。土台をしっかりと形成したあとに、自社の個性に合わせた「攻めのCSR」で色を出して社会の中で立ち位置を確保し、企業活動を社会的価値のあるものにしていくことが重要です。 このように、CSRは「守り」と「攻め」の2つの柱から成り立っており、両方を企業活動に絡めていくことで企業は存続していくことができるのです。11攻めのCSR守りのCSR

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