トーク123
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 CSRと聞くと、単純に環境保護・地域貢献といった活動を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。本来のCSRとは、後から詳しくご説明しますが、「企業の社会的責任」を指す言葉です。何だか難しそうですが、最近はCSV経営というCSRを重視した経営が脚光を浴びており、CSRを企業の活力に変えようとする動きが見られます。 今回は企業インタビューを通じてお伺いした話を基に企業経営とCSRの密接な関係について考えます。CSRとはCSRが企業経営を変えるテーマ 新聞、雑誌などで一度は目にしたことがあるCSR。この言葉から、何を連想しますか。企業名を冠したスポーツ大会、有名音楽コンクールへの協賛、医療団体への寄付、ボランティア活動・・・これらを思い浮かべた方も多くいらっしゃることでしょう。一般的にCSRと言えば、大企業が潤沢な利益を社会に還元するために行う慈善活動、というイメージが浸透しています。しかし、本来の定義は少し異なります。 CSRはCorporate Social Responsibility を略した言葉で、「企業の社会的責任」と訳されます。つまり、企業は利益を追求するだけでなく、あらゆるステークホルダー(利害関係者)に対し、企業としての責任を果たさなければならない、というものです。ここで言うステークホルダーとは、取引先、従業員、社会全体、株主・投資家などを指します。 一見すると外国から輸入した概念のようにも思えますが、実はかなり昔から日本にはCSRの精神が根づいていたとされています。近江商人が大切にしていた「三方良し:売り手よし、買い手よし、世間よし」の精神がその代表例です。売り手が社会に役立つ商品、サービスを提供し、買い手がその商品、サービスに心から満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展に貢献するという商売に対する哲学的な意味が込められており、まさにCSRの定義と一致します。目先の利益だけを求めることは、取引先の信頼を失い、やがて売上の低下、従業員の解雇、社会の評判の低下、投資家の撤退などを連鎖的に引き起こします。近江商人はこのことを理解していたのでしょう。10

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