トーク123
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奨励金制度」を開始したのです。G…大変ユニークな取組みですね。従業員の方々の反応はどうでしたか。 あまりにも極端とも言える制度と受け止められたのでしょうか。開始当初は、従業員からの反応はほとんどありませんでした。しばらくすると、20名ほどが制度利用の申請をあげてきましたが、元々、スマートフォンを使用していない従業員ばかりでした。笑い話ではないですが、実際にスマートフォンを使用していて、この制度の利用を機に使用を止めたのはたったの3人でした。「これはまずい」と思いました。G…どのようにこの取組みを広げられたのですか。 おっしゃる通り、ユニークな取組みですので、マスコミも関心を持ったのでしょうか。テレビや新聞で話題になることが増えてきて、反応がなかった従業員もこの取組みの意義を真剣に考えてくれるようになりました。「私もやってみようか」と思う従業員が増えてきたのです。 会社がお金まで支払って真剣にこの状況を変えようとしていることがマスコミの力を借りながらも従業員に浸透し、実際に「周りとの会話が増え、いろいろな話ができ、雰囲気も良くなった」と話をしてくれる従業員も出てきたときは、本当に嬉しかったですね。 現在では、従業員の半数近くが本奨励金を受取るなど、アナログのよさを実感し、「考える能力」や「雑談(コミュニケーション)能力」の強化に努めています。 新聞読むなら2,000円G…「デジタルフリー奨励金制度」以外の取組みもあるのですか。 私が理想とする会社は、従業員がいろいろなことに興味を持ち、能動的に考えることができる、いわば「文化の香りがする企業」です。例えば、従業員が一般教養を備え、新聞記事を題材に議論を交わすことができる質の高さと言うべきものでしょうか。 そのために、「デジタルフリー奨励金制度」と合わせ、2014年1月から従業員に対して新聞を定期購読し、記事の感想文を月1回提出することで、月2,000円を支給する「新聞購読補助制度」を新たに設けました。 特に若手従業員の中にはこれまで新聞をしっかり読んだことがない人が多かったのですが、感想文を見ているとだんだん文章のレベルが高くなっていくことが分かります。「雑談(コミュニケーション)能力」だけでなく、「文章を書く能力」も向上していく姿が把握でき、毎月感想文を見るのが楽しみです。 「れんげ草くらぶ」G…アナログ推奨で御社の人材育成、組織の活性化を図る取組みがよく理解できました。また、こうした取組みが製品開発力の強化につながり、CS(お客さま満足)の向上にもつながっていくということですね。一方でメセナ活動(文化、芸術活動を支援する活動)にも力を入れていると聞きましたが、そのあたりについてもお話いただけますか。 当社を含む岐阜県内の企業5社で「れんげ草くらぶ」という会をつくり、1990年から毎年、演劇やコンサートなどを開き、市民を無料招待しています。現在は、各社が年間約50万円の会費を拠出し、イベント費用を全額賄っています。 名前は「野に咲くれんげ草」になぞらえてつけました。会を発足させた当時は、バブル崩壊の直前で、「サントリーホール」に代表されるように大企業がメセナ活動にお金をつぎ込んでいた時代でした。「自分たちもいつかあんな活動ができる会社にしたい」と当時40代であった私は年齢も会社の規模も同程度の若い経営者と会うたびに、そんな話ばかりしていました。 そうこうするうちに「5、6社集まれば、何とかなりそうじゃないか」と思い始め、1社あたり数十万円を拠出し、スタートしました。メセナ活動なので、「営業のネタにはしない」という約束でスタートしました。また、入退会も自由としました。多い時は会員が8社ほどに増えたこともありましたが、今は5社で会を運営しています。 今後も会員が増減する可能性がありますが、例えそうなっても、規模や開催の頻度を調整するなどし■製品開発のアイデアは従業員同士の対話から生まれる8SPECIAL TALK

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