トーク122
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 ですから当然社員教育も非常に重要視しています。その一つは社員全員が持っている「ランクアップノート」による行動管理です。まず年度初めに今後やり遂げることを洗い出して1年間の目標を立てます。その目標を1ヵ月単位、1週間単位、1日単位と細分化して日々の行動を明確にします。そして、目標の進捗状況をこのノートに日々記録していくのです。 また、社員に全体を見渡す力を養ってもらいたいと思い、「マネージメントゲーム」という研修を定期的に開催しています。この研修は、企業をミニチュア化し、社長になりきって意思決定・採用・設備投資・製造・販売を行い、最後にその結果を決算書としてまとめるものです。いわば、「社長の疑似体験」です。自分が会社のなかでどの業務を担当しているのかを認識し、改めて全体を見渡すことでこれからどう貢献できるかが理解できたと社員から好評です。 このように、自分たちの役割をはっきりさせることで、なすべきことが自然に分かるようになります。これは、CS(お客さま満足度)を高めることにもつながります。時代の流れ、人々の動向を細かく観察することで、お客さまが望むことが分かるようになり次の一手が打てるのです。今「グラノーラ」(オーツ麦、玄米、雑穀などの穀物加工品と、ドライフルーツ、ナッツをはちみつなどのシロップ・植物油とで混ぜ、オーブンで焼いたもの)を新たな主力商品に育てるべく経営資源を注力しているのも、日本人の朝食が「ごはん」・「パン」から「グラノーラ」が増えていくと予想したからです。でマーケティングをし、業者への営業も行います。一方で「岐阜米穀」は穀物(農作物)を仕入れ、自社倉庫などに保管、「ライスアイランド」からの注文に応じて精穀・加工し、計量および袋・箱詰めする業務を主業としています。 整理すると、2社で購買(仕入)から業者への販売(卸売)までの流れができあがります。(図①参照)ここまでできるのは業界でも珍しいと思います。つまり、「岐阜米穀」、「ライスアイランド」の総合力で長いバリューチェーンを確立し、業績を安定させる仕組みが構築できたのです。この長いバリューチェーンこそが他社がまねできない強みといえるでしょう。「ランクアップノート」と「マネージメントゲーム」G…グループ力を発揮し、企業戦略が明白ですね。人材育成・組織活性化、CS(お客さま満足度)向上に向けた取組みも何か特徴があるのですか。 私が夫と結婚し、この業界で仕事をするようになってからの変化は想像以上で、昔はあんなにたくさんあった米屋も淘汰され、今ではほとんど見られなくなりました。しかし、こうした状況下にありながら、現在まで仕事を継続してこられた要因は、時代の流れを読み勉強して対処してきたからです。ですから、勉強することの重要性は身に染みて理解しているつもりです。車の運転をするのに運転免許証が必要であるように、私自身も経営という仕事をする以上、経営の免許が欲しいと思い、一念発起して45歳の時に「MBA(経営学修士)」の学位を取得しました。■(図①)「岐阜米穀」と「ライスアイランド」のバリューチェーン出荷・物流マージン◦製造・包装◦購買・在庫岐阜米穀◦リテールサポート◦顧客サービス◦マーケティング◦販売ライスアイランド8SPECIAL TALK

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