トーク121
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石井社長(仮)の場合◦父の創業した会社の2代目社長◦学卒後、企業に就職◦30代前半で退職し、現在の会社を承継◦承継して15年ほどが経過し、事業は順調~「継ぐ側」の目線から~ 前頁では、「譲る側」のご意見を紹介してきましたが、「継ぐ側」は事業承継についてどのような考えを持っているのでしょうか。 当金庫のお取引先企業で、事業承継に成功した経営者にお話を聞きました。 石井社長のお話の中で非常に驚いたことは、承継をしてから先代が石井社長の経営に意見したことが一度もない、という点です。ともすれば、親心から口出しをしてしまいがちですが、石井社長を信頼し任せていることがうかがえます。 また、石井社長は何度も「覚悟」という言葉を口にされていました。後継者として会社を担っている社長の意思の強さと、従業員への愛情が伝わってきました。 事業承継は、「譲る側」の努力だけでは成立せず、「継ぐ側」の固い決意と覚悟が必要です。①事業承継する前に準備したこと 家業と同業種の企業でサラリーマンをしながら、ビジネスについて学んだ。②経営者としての手腕をどう磨いたか 1)親以外の先輩経営者に指導を受ける 2)現場で働きながら学ぶ 3)書籍・セミナー等で経営のイロハを学ぶ③事業承継をする上で苦労した点 1)従業員に経営者として認められること(3年を要した) 2)会社の財務状況を改善すること(入社してから財務諸表を見た)④経験を振り返って、スムーズな事業承継を行う上で必要だと思うこと 1)親子の場合、先代と後継者が『覚悟』を持って取組むこと   ◦継ぐ判断はあくまでも、後継者が自己判断すべき。自分の財産を賭け、従業員の人生を背負う、責任の    重い仕事だということを覚悟できていない後継者は、続かないと思う。   ◦「譲る側」が、後継者のことを「息子」という色眼鏡で見ないようにすること。後継者が経営者として適任の    人物かどうか、冷静に判断することが事業承継の成否を決める。 2)承継する会社の内情を共有しておくこと   前述したように、財務状況を知らずに会社を承継したため苦労した。「譲る側」は、会社の内情を隠さずに   話しておく必要がある。 3)完全承継の期限を決める   ◦ダラダラと承継をすると、いつまでたっても承継が完了しない。   ◦船頭が二人いると、従業員はどちらの方向を向いて仕事をしていいのかわからなくなり、現場が混乱する。    経営権が複数にわたる期間はできるだけ短くすること。⑤承継の時期について 30代前半で承継したが、親の年齢を考えると、早すぎるとは思わない。                                                ※石井社長個人の意見です。4. Case study12

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