トーク121
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 事業承継をする上で問題となることについてお聞きしたところ、「後継者の教育」が64.8%と最も多い回答となりました。以下「取引先との関係を維持すること」(41.3%)、「金融機関との関係を維持すること」(24.7%)、「従業員から支持•理解を得ること」(21.6%)と続いており、ソフト面での問題が上位となっています。 一方で、「相続•贈与の問題」(15.5%)、「後継者による株式の買い取り」(14.6%)といった資産面の問題は、予想に反して比較的低い割合となりました。(図②参照) 多くの経営者が資金面の問題よりも、マニュアルで伝えることのできない経営者としての手腕や人間関係を次の世代に承継するために苦慮していることがうかがえます。  事業承継において、最大の課題である「後継者の教育」をどのようにするかを尋ねたところ、「自社でいろいろと経験を積ませる」が65.2%と最も高く、次いで「経営者としての心構えを勉強させる」(49.7%)となっています。一方で、座学的要素の高い「業界団体の会合に出席させる」、「経営者向けのセミナーに参加させる」はそれぞれ21.6%、19.9%と比較的低い割合となりました。(図③参照) 現場で経験を積んできた経営者が、実地経験を重視することは当然の結果と言えます。また、座学での学習や「譲る側」主導の人脈作り等、表面的な教育を好まない経営者もいると考えられます。「自社でいろいろと経験を積ませる」ことで、自社の従業員との距離を縮め、自社の強みと課題を後継者の目線で認知させる機会を設けることが、「譲る側」のできる教育なのかもしれません。2. 事業承継の一番の問題は「後継者の教育」3. 後継者を教育する方法「自社で経験を積ませる」が最多事業承継の問題点〈複数回答〉(図②)後継者への教育〈複数回答〉(図③) しかし、事業承継には時間がかかります。後継者候補を探し、土地、株式等資産を洗い出し、取引先や借入先に通知をする必要があります。後継者に経営権を譲った後も相談に乗ったり、時には叱咤激励をしたり…。計画的に事業承継を進めると、完全に後継者に経営権を移行するには10年程度かかる場合があります。 では、事業承継のタイミングは、どれぐらいが適当なのでしょうか。独立行政法人 中小企業基盤整備機構が平成23年1月から2月に調査した「事業承継実態調査」によれば、事業承継時の新経営者の年齢について「ちょうどよい時期だった」と回答した割合は、年齢別にみると、30歳代で49.1%、40歳代で44.8%と高い割合になっています。 一方、50歳代は26.4%、60歳代は26.9%と低い割合となっており、新経営者が30歳・40歳代で承継できるように計画的に準備することが望ましいと言えるでしょう。11後継者の教育取引先との関係を維持すること金融機関との関係を維持すること従業員から支持・理解を得ること後継者候補の確保相続・贈与の問題後継者による株式の買い取り売却先の調査・確保その他(%)64.8%41.3%24.7%21.6%17.9%15.5%14.6%1.9%2.4%010203040506070(%)65.2%49.7%21.6%19.9%18.1%13.7%8.6%1.4%010203040506070自社でいろいろと経験を積ませる経営者としての心構えを勉強させる業界団体の会合に出席させる経営者向けのセミナーに参加させる特に考えていない他の企業で経験を積ませる後継者に補佐役をつけるその他

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