トーク119
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皆が安心できる医療基盤構築の実現に向けて ~「救命救急」の現場から誕生した医療システムで変革を起こす~ター運営に携わりました。 運営にあたっては、当初、18名の医師が必要であると考えていましたが、大学側から提示された数は、4名少ない14名でした。「こんなに少ない人数でやっていけるのだろうか」と内心心配でしたが、仕方がないので、とりあえずこの体制で運営しました。しかしながら、予想どおり、人員不足は否めず、日に日にメンバーの疲労が蓄積していきました。当然、提供する医療の質が劣化し、現場は荒廃の一途を辿ったのです。医療全般に言えることですが、特に救命救急は、チーム力が非常に重要です。個人の頑張りだけで何とかなるような甘いものではないとしみじみと感じました。気がついたら海のない岐阜県で救急医にG…こうした経験を買われ、母校の岐阜大学救急・災害医学分野の初代教授として赴任し、国立大学附属病院としては大阪大学、山口大学、香川大学に次ぐ4番目の救命治療センターが岐阜大学医学部附属病院に設立されたのですね。先生…10年前に母校から声が掛かり、「気がついたら海のない岐阜県で救急医になってしまった」という感じでした。かつて岐阜では救急医が足りず、「岐阜では大けがや急病になってはいけない」とまで言われたものです。ですから、救命治療センターの設立に際しては、「岐阜県内のどこで発生した救急患者でも日本最高水準の救急集中治療を受けられるようにしたい」という強い理念を掲げました。最も尽力したのは、十分な人材の確保です。現場が疲弊しないスタッフ配置を最重要テーマとしました。このことに力を入れた理由は、先ほどお話ししましたが、香川医科大学救命救急医療センター運営においてチーム力の重要性を実感したからです。人材不足でチームが機能しなくなると、提供する医療の質は見る見るうちに低下してしまい、助かる命も助けることができない恐れがあるのです。つまり、救急医にとって働きやすい環境づくりは、患者さんにとってもプラスに働くのです。現在、当センターは救急指導医4名、救急専門医14 名を含めた専従医師約30名のスタッフからなる日本最大規模の救急医療施設となっています。 また、全国に先駆けて岐阜県と協定を締結して、岐阜県消防防災ヘリによるドクターヘリ的運用を実施しました。そして2011年2月からは本格的にドクターヘリの運航を開始し、岐阜県全域からの救急患者を積極的に受け入れています。また、岐阜市消防本部との協定によりワークステーション方式を取り入れて救急隊員の教育を行うなど、病院前救急医療活動も積極的に行っています。こうした取り組みの一環として、新たな「救急医療情報共有支援システム」の構築に力を入れています。一刻を争う「時間との闘い」に勝利するためにG…先生が力を入れている「救急医療情報共有支援システム」とは一体どういったものなのですか。先生…じっくり患者さんと向き合える「一般診療」に比べ、「救急診療」は、生きるか死ぬかどちらに転ぶかわからない患者さんと突然、向き合わなければなりません。医療現場は、戦場さながらであり、まさに、一刻を争う「時間との闘い」と言えるでしょう。 つまり、限られた時間の中で治療方針を決断し、1秒でも早く治療をスタートしなければ、患者さんの命を助けることができないのです。 救急医療は往々にして、事前に得られる患者情報が非常に少ないのが実情です。情報は患者と同時にもたらされるので、受け入れる医療施設も詳細には把握しておらず、準備や対応が困難になりがちです。半面、患者情報を手掛かりに、適切な医療施設に搬送されれば、患者さ■対談中の山口営業企画部長(左)と猿渡加納支店長(右)7

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