トーク119
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しかし、試行錯誤の末、「介護分野」の中に建設の人材をそのまま活かすことができる「複業化」の事業を見つけることができたのです。現在においては、この事業が軌道に乗り、私達「セントラルグループ」の核となる成長事業になっています。全国の建設業者に夢と元気を与えるG…今お話しのあった「介護分野」の中に建設の人材をそのまま活かすことができる「複業化」の事業について詳しくお聞かせください。社長…「セントラルグループ」に「複業化」をもたらせたものとは「介護用品のレンタル事業」でした。つまり、ベッドや車イスなどを在宅介護者にレンタルする事業です。先ほども申しましたが、「カネ九商事」、「セントラル建設」ともに建設不況のあおりを受け、業績が伸び悩む中、それをカバーするために「カネ九商事」が平成18年3月に「介護用品のレンタル事業」に進出したのが「複業化」ビジネスのきっかけです。 介護保険と介護用品の関係についてここで少しお話しましょう。介護保険を使って介護用品を利用するには「レンタル」することが条件となります。言い換えれば、「購入」した場合には、介護保険は適用されず全額自己負担となるのです。その理由は、例えば「車イス」の場合、「自分で操作するタイプの車イス」を使用している方の手が不自由になり、「介助者の力を借りるタイプの車イス」に変えるケースは珍しくありません。こうしたケースにおいて「自分で操作するタイプの車イス」を眠らせることなく、新たに必要とする方に利用してもらうために、介護保険の適用については、介護用品は「レンタル」と決められているのです。 こうして始まった「カネ九商事」の「介護用品のレンタル事業」でしたが、時間が経つにつれ、驚くべき現象が起きました。なんと介護用住宅リフォームの相談が次々と舞い込んできたのです。これは、家庭において介護用品の需要があれば、それに伴い、介護用品を利用する方が自宅で快適な生活を送るためのリフォームが必要となってくるからでした。な折、行政機関から「リサイクル施設を造ってもらえないか」といった話があり、平成5年に「恵那アスコンセンター」内に最新鋭リサイクルクラッシャープラントを建設しました。このプラント建設によって、建設副産物の処理問題に取り組む体制を整備することができたのです。 こうして、当社の事業が拡大するなか、道路舗装にとどまらず、河川工事、造成工事、下水工事、造園など、土木全般を請け負うようになってきました。つまり、舗装専門会社として設立された「中央舗道」は当初、日本食で例えると寿司専門店であったのですが、時を経て、寿司専門店から天ぷらもうなぎもある日本食の総合レストランになったわけです。当社に就職した従業員のなかにも「私は道路舗装をするためにこの会社に就職したのであって、土木工事をするために入社した訳ではない」と不平をこぼす従業員も出てきました。それで、平成3年に設立30年を記念して、「CI(企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略)」導入を図り、社名を現在の「セントラル建設株式会社」としたのです。 しかしながら、バブル経済崩壊後、建設業界は冬の時代を迎え、低迷期に入ります。ご存じの通り、公共事業の減少や住宅需要の減少により多くの建設業者が苦戦を強いられることになります。このことは、私達も例外ではありませんでした。「カネ九商事」は建設・土木資材の販売を、「セントラル建設」は舗装・土木工事を中心とする建設事業を手掛けていましたが、ともに需要が減少し、業績が年々悪化していきました。打開策はないものかとあれやこれやと取り組んではみたものの採算ベースに至る事業には、なかなか巡り合うことができませんでした。■対談中の山口営業企画部長(左)と楯恵那支店長(右)建設と介護の複業化モデルで建設業の新たな道を切り開く~介護を切り口に住宅リフォーム事業を伸ばす地域密着型建設会社の挑戦~■本社外観3

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