トーク118
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ート、浮き輪ばかりだったからです。これらの商品は最盛期の夏場を過ぎると注文が激減し、売上が変動するなど、経営基盤強化の障害となっていました。それが、介護用品の開発を契機に、不安定な『季節型企業』を脱却し、安定した『全天候型企業』に生まれ変わることができたのです。 現在、当社の売上の約70%を介護・健康用品が占めるようになり、安定経営の源となっています。G…御社の歴史は、様々なピンチに直面しながらも、それを克服してきた歴史ですね。 平成2年に社名を日置ビニール工業株式会社からハイビックスに変更されたと聞きましたが、この社名とマークには、御社のそれまでの歩み、将来に向けた可能性などが込められているのですか。社長…当社は、幾多のピンチに見舞われましたが、時代の流れを読み、適切な経営判断をすることで、ピンチをチャンスに変え、乗り切ってきました。『ハイビックス』はローマ字表記で『HIVIX』と書きますが、当社の思い、考えが込められています。 まず、『HI』については、創業名『日置ビニール工業』のHIから取りました。また、ハイテクノロジー、ハイセンス、ハイクオリティ、ハイタッチのHIでもあります。次に、『VI』については、ビニールのVI、VICTORY(勝利)のVIです。最後の『X』ですが、無限性、未知への広がりを表現するものです。空気をカタチにして、人と人、人と夢をつなぐ~最新素材と高度な溶着技術で無から有を生み出す~機が訪れます。時代としては、ちょうど高齢化社会の入り口に差し掛かった時でした。実は、私の祖母も昭和52年に脳梗塞で倒れ、しばらくは、病院でお世話になりましたが、完治することはなく、家で看護することになりました。ベッドで寝たきりの状態でしたので、家族全員で介護しましたが、当然、便利な道具もない時代であり、体を洗うのも一苦労でした。 そこで、家族の負担をできるだけ軽くしながら介護をする方法はないか、何とか祖母の役に立ちたいという思いで、父が中心になり、あれこれ考えながら、介護用品をつくってみました。当社の製品であるベビー用プールを改造し、洗髪器を作り、寝たきりの祖母の髪を洗ったところ、祖母は「ありがとう」と大変喜んでくれました。 このように、寝たきりになった祖母を介護するために作った洗髪器などがきっかけとなり、当社で介護用品を開発することになったのです。その後は、時代の要請もあり、介護用簡易浴槽、寝返りマット、床ずれ防止マットなど数多くの介護用品を生み出すことができました。 今、思えば、祖母が身を犠牲にして残してくれた遺産であると感謝しています。この介護用品こそが当社が国内で生き残るための救世主となったのですから。 また、介護用品の開発は、当社が解決したくても解決できなかったもう一つの問題を乗り越える力にもなりました。 これまでは、先ほどもお話ししたとおり、天候、季節に左右されやすい企業体質でありました。理由は、取扱商品のほとんどが『季節商品』といわれる簡易プール、ボ■対談中の山口営業企画部長(左)と吉田近島支店長(右)■介護用簡易浴槽■介護用洗髪器7

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