トーク118
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愛知県江南市に本社を置くKTX株式会社は、プラスチック成型用金型メーカーとして、日本だけではなく、欧米を始めとして中国、韓国、インドなど世界の大手自動車メーカーとも取引をするグローバル企業である。 電気鋳造金型を主力で取り扱っており、インストルメントパネル(速度メーター・エアコンの操作部などを含む運転席前面のプラスチック部品、通称インパネと呼ばれる)など自動車の内装部品の多くが電気鋳造金型で製造される。 電気鋳造は、電気メッキで原型を複製するものであり、電気を利用して、原型に5ミリ前後の厚メッキを施した後、できあがったメッキの金属層を原型から外すと、形や表面の質感が精密に再現された金型が完成する。つまり、電気鋳造金型の最大の特徴は、原型に限りなく近い複製品を製造することができる点であり、特に革模様や縫い目を原型からそっくりそのまま写し取れるのは、電気鋳造金型ならではといえるだろう。 高度な電気鋳造技術が世界的に評価され、国内外の自動車メーカーからの信頼も厚い同社であるが、これまでの歩みや経営の秘訣について野田社長にお話をお伺いした。G…聞き手/営業企画部長 山口 貴生KTX 株式会社 優れた企業家を表彰する『アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン(新日本有限責任監査法人主催)』の東海・北陸地区代表に選出されました。誠におめでとうございます。野田社長(以下、社長と表記)…ありがとうございます。創業以来、電気鋳造こそが私達に与えられた使命だと心に決め、電気鋳造を主体とした金型造りの技術を磨き、今日までに幾多の新しい電気鋳造分野を開拓し続けた結果であると思っております。こうした技術が自動車などのものづくりに生かされていることは、この上ない喜びであるとともに、感謝の気持ちで一杯です。G…御社の略称である『KTX』の由来は『江南・特殊』、そして未来への可能性を秘めた意味を込めた『X』ということですが、創業の経緯、電気鋳造の世界に入られたきっかけ について教えてください。 社長…私は、学生時代、鋳物屋に勤めている従兄のところに居候していました。当時、従兄が真っ黒な顔になり、毎日、夜遅く帰ってくる姿を見て、『大変な仕事だなあ』と感じていました。ある日、この従兄が顔に大きな火傷を負って帰ってきました。「どうしたのか?」と聞くと、仕事中に「湯が飛んだ」との返事でした。砂などでできた鋳型に流し込んで製造する鋳造現場では、高熱で溶かした金属のことを『湯』と呼んでおり、その『湯』が顔にかかったのです。その顔は大変痛々しく、今でも忘れることができません。この出来事をきっかけに、何とか従兄を楽にさせる方法はないものかと真剣に考えるようになりました。この頃は、電気掃除機、電気洗濯機、電気冷蔵庫など電気を使えば何でも便利になると考えられていた時代です。鋳造にも電気を応用できないかと思いました。 ある日、学校の電気化学の授業で電気鋳造を説明する5行ほどの文章に出会いました。高熱で溶かした金属をルルルポ企業KTX 株式会社 代表取締役 野田 泰義 氏この道が私に与えられた使命だと気づくG…この度は、御社が『ニッポン新事業創出大賞(日本ニュービジネス協議会連合会主催)』において『優秀賞』を受賞され、また、野田社長がG…聞き手/営業企画部長 山口 貴生KTX KTX KTX KTX KTX この道が私に与えられた使命だと気づくG…この度は、御社が『ニッポン新事業創出大賞(日本ニュービジネス協議会連合会主催)』において『優秀賞』を受賞され、また、野田社長が■ポーラス電鋳金型■ポーラス電鋳金型 裏面2

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