トーク118
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『相続時精算課税制度』について 相続があったときは、財産を相続した人に「相続税」がかかります。また、贈与があったときは、財産をもらった人に「贈与税」がかかります。このため、相続や贈与については、これらに関する税金の知識を持ち合わせているか否かによって、税負担に大きな差が生まれます。 この「相続税」と「贈与税」について、生前贈与の手段として耳にするのが「相続時精算課税制度」です。この制度は、贈与する財産の種類によっては相続税対策としても効果が期待できる場合があり、今後もこの制度を利用した生前贈与が検討されるものと思われます。 今回は、「相続時精算課税制度」に注目し、概要、活用方法についてまとめましたので、是非、ご一読ください。※本文は、平成24年4月1日現在の税制に基づき、記載してあります。ご了解ください。泉情情情報泉の 平成15年度の税制改正において、高齢化の進展等を踏まえ、高齢者の保有する資産を次世代に円滑に移転させる観点から、贈与税に「相続時精算課税制度」が創設されました。この制度は、生前贈与時の「贈与税」と「相続税」を一体化して課税するものです。 この制度は、従来の一般の贈与税の場合の「暦年課税制度」との選択制となっています。ただし、いったん「相続時精算課税制度」を選択した場合、その親からの贈与については、「暦年課税制度」は選択できませんので、注意が必要です。◦対象者について 「相続時精算課税制度」の適用対象となる贈与者は、贈与をした年の1月1日現在において年齢が65歳以上の受贈者の親です。また、対象となる受贈者は、贈与を受けた年の1月1日現在において年齢が20歳以上の贈与者の子である推定相続人(代襲相続人を含む)です。ただし、平成26年12月31日までの一定の住宅取得等資金の贈与については、贈与者の年齢は問われませんので、65歳未満の親からの当該贈与はこの制度の対象となります。◦手続について 「相続時精算課税制度」を選択する受贈者(子)は、この制度を選択し、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行うことになります。この制度の利用については、受贈者である子がそれぞれ贈与者である父、母ごとに選択できるものです。(例えば、父からの贈与は、「相続時精算課税制度」を利用し、母からの贈与は「暦年課税制度」を利用するといったことです。) 注意しなければいけないことは、先ほども記載しましたが、一度「相続時精算課税制度」を選択した場合、その親からの贈与については、「暦年課税制度」は選択できないことです。慎重な検討が必要です。◦適用対象財産等について 贈与財産の種類、金額、贈与回数については、制限はありません。◦贈与時の計算 「相続時精算課税制度」を選択した受贈者(子)は、この制度に係る贈与者(親)からの贈与財産について贈与時の翌年に申告を行い、他の贈与財産と区分して、選択をした年以後の各年にわたり、その贈与者(親)からの贈与財産の価額を基に計算した贈与税を支払うことになります。 その贈与税の額は、選択をした年以後については「暦年課税制度」の基礎控除110万円を控除せず、前記の贈与財産の価額から、複数年にわたり利用できる2,500万円の特別控除を差し引いた後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。※この制度を選択した受贈者(子)がこの制度に係る贈与者(親)以外の人から贈与を受けた場合には、その贈与財産については、その贈与財産の価額から基礎控除110万円を控除し、「暦年課税制度」の贈与税の税率を乗じて贈与税額を計算することになります。「相続時精算課税制度」の概要について12

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