トーク117
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設が完成したら既存の大浴場も作り変えます。その後はこの2つの施設をジョイントし大きな温泉施設とする予定です。 母として 若女将としてG…小さなお子様がいらっしゃるとお聞きしましたが、母として妻として若女将として忙しい毎日と想像するのですが。若女将…創業家の長女として生まれた私は、幸せな幼少時代を過ごしました。母が女将ではなく、専業主婦の道を選んでおり、温かい家庭だったからです。 しかし、時代の変化とともに旅館も女性の感性が不可欠となりました。女将になることを夢にも思わなかった私も、必然的に経営に携わることとなり、現在は仕事と4歳の娘の育児に奔走する日々です。 娘が1歳のころは、帰宅した私の顔を見たとたん泣き出したり、仕事へ行かせないために着物を着る邪魔をしたりと寂しい思いをさせてしまいました。私自身も仕事をする後ろめたさにつぶされそうでした。しかし、現実から逃げることもできません。「宿命」とは「宿の命」と書きます。私自身も生きがいを持ち、日々過ごしながら、娘が「女将になりたい」といってくれるような十八楼そして母となることが、私の夢です。G…私もこの十八楼で夫婦2人岐阜の歴史に思いを巡らせてみたいと思いました。本日は長時間に渡りありがとうございました。参考 岐阜新聞掲載若女将エッセイ「素描」み縄で固定し、鉄筋の代わりとしました。そしてコンクリートの代替は藁わら入りの土。乾かしては塗り、何度も塗り重ねること数カ月。通気性の良い土壁が復活しました。 効率とコストを重視する現代建築において、このような仕事ができる職人は今や稀です。職人探しから始めたこのプロジェクトは、建物が完成したからといって終わりではありません。企業として商業目的で活用しながら、建物を保存し、日本の伝統や本物の良さを伝えることに意味があると思います。 この土蔵はレストランとしての第二の人生を一昨年(平成22年)スタートさせました。レストランに「時とき季の蔵」と名付け、こちらも岐阜市都市景観奨励賞を受賞させていただきました。G…大浴場も改装されていらっしゃるとお聞きしたのですが。若女将…長良川は鵜飼と鮎のイメージですが、鵜飼のシーズンでも鵜飼を楽しまれる方は4割、年間を通せば2割です。 「岐阜市内に温泉があるんですか」とよくいわれます。当地も天然温泉に恵まれ、長良川温泉は泉質も良く神経痛や婦人病に効能があります。鉄分を多く含んでいますから空気にふれると茶褐色になり、ミネラルが多いことから冷めにくく長い間ぽかぽかします。この長良川温泉の良さをみなさんに知っていただくために温泉施設を新しくすることでその魅力をアップさせようと思っています。 現在の2階の大浴場はバブル期に改装したままで古臭さ、設備の老朽化が否めません。今夏完成を目指し明治時代の貴重品倉庫の中に温泉を作り始めました。この施■120年前の土蔵がレストラン「時季の蔵」として甦る■お湯処 川の音■長良川の鵜飼写真提供/岐阜市写真提供/岐阜市■十八楼全景■川原町(十八楼周辺の古い町並み)5

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